史上最年少棋士が師匠から入門時に最初に教わったのは●●の飲み方だった

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この記事は、藤井聡太四段が27連勝目をあげ、それ以前の歴代最高連勝記録28連勝に追いつこうとしていた時期に書かれました。冒頭のあいさつ文はすでに古くなってしまった上、記事本体とは直接関係ないので、読者の皆さまの利便性を図るために、あいさつ文を目次より下に移しました。本文を急いで読みたい方は、目次を上手く活用していただければ幸いです。記事本体の内容は、子ども時代の藤井聡太四段がお母さまとともに、後の師匠、杉本先生にあいさつに行った際の、今では有名なあのエピソードです。

 

 

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ごあいさつ (2017年6月20日執筆)

 

この前の記事で、藤井四段の26連勝を懸けた戦いが6月15日に行われると書きましたが、その2日後の6月17日にも対局があることを書き忘れていましたm(_ _)m

 

 

2局とも勝利した藤井四段は27連勝を達成。

 

 

26戦目の瀬川五段との順位戦は私も一部ですが、AbemaTVとニコニコ生放送で観戦しました(スマートフォンで、交互にみました)。

藤井四段がNHK杯の千田翔太六段戦で見せた自陣に桂馬を打つ手のお株を奪う手を瀬川五段が指していました。

終盤、瀬川五段がこの桂馬の活用を図る手が見事で、藤井四段はあと一歩のところまで追いつめられましたが、瀬川五段が藤井玉を広いところに逃がしてしまい、藤井四段の勝ちとなりました。

 

 

さて、この27連勝という記録は歴代2位で、現在の1位は神谷広志八段の28連勝。

つまり藤井四段は次の対局で勝利すれば連勝数一位達成、さらにその次も勝てば新記録達成となります。

 

 

28戦目の相手は、20戦目にも対戦した澤田真吾六段です。

20戦目では、澤田六段は藤井四段をあと一歩のところまで追いつめたものの、藤井四段が驚異的な終盤力で勝ちを拾いました。

 

藤井四段の見事な勝利でしたが、かなり危なかったとも言えますね。

おそらく澤田六段は、藤井四段が棋士デビュー後公式戦で指した中でも、屈指の強敵でしょう。

 

さあ、果たして藤井四段は新四段にして最多連勝記録達成という快挙を実現できるでしょうか?

 

 

 

そして、29戦目の藤井四段の相手は、炎の七番勝負でも対局した、増田四段です。

 

藤井四段の棋士デビュー前、奨励会時代に参加した研究会のとき、一番藤井四段の印象に残ったのが増田四段です。

炎の七番勝負では、藤井四段が増田四段の読み筋に感心するシーンもありました。

 

 

 

藤井四段が27連勝達成した6月17日に行われた羽生-斎藤の棋聖戦五番勝負第二局も面白い将棋でしたし、今後も将棋界から目が離せませんね^^

 

なお、非常に残念なことに私は、瀬川-藤井戦も棋聖戦五番勝負第二局も、ニコニコでタイムシフト予約するのを忘れました。。。

 

 

 

さて、気を取り直して(笑)、今回の内容に入りましょう!タイトルから分かる通り、好評(?)の杉本師匠シリーズ(?)です!

今回も「炎の七番勝負」で、藤井四段の師匠の杉本七段が解説者として出演した時のお話をもとに書きます。

 

杉本昌隆師匠の弟子・藤井聡太四段への教え

 

「師匠」シリーズは、毎回タイトルや見出しが似たようなものになってしまっていますが(笑)、それは大目にみてください^^

 

 

杉本昌隆先生は、藤井四段に最低限のことを教えて、あとは本人にまかせるという教え方をしている、ということを前に書きました。

今回は、その自由な感じと、それでも教えるべきことは教える、というけじめのしっかりした感じと、その両面について書いてみます。

 

杉本昌隆七段は振り飛車党だけど藤井聡太四段は居飛車党

 

まずは、杉本門下の自由さについてです。

 

 

杉本昌隆七段は、「振り飛車戦法」の使い手、いわゆる「振り飛車党」です。

 

 

将棋に詳しくない方のために説明しておくと、振り飛車戦法というのは、飛車を振る戦法のことです。

 

「何のことだ?」と思ったかもしれませんが(笑)、ここでいう「振る」というのは、序盤で飛車を横に動かすことです。

飛車というのは最初、自分からみて盤の右の方にありますね。

それを左の方に持っていくのが「振り飛車戦法」で、もっていく位置に応じて、もっと細かく戦法の名前があります。

左から順に、「向かい飛車」、「三間飛車」、「四間飛車」そして「中飛車」があります。

 

ようするに杉本先生の普段の将棋では、先生は飛車を左にもっていくわけですね。

 

 

 

それに対して、藤井四段は、「居飛車戦法」を使う「居飛車党」です。

こちらは、飛車を振らずにもとの場所に「居」続けさせるので、「居飛車」というネーミングですね。

 

お互いが居飛車の将棋を、「相居飛車」と呼び、中でも藤井四段がよく指すのが「角換わり」です。

この他、相居飛車の将棋には、加藤一二三先生が好きな「矢倉」や、難解な空中戦になることが多い「横歩取り」などがあります。

 

 

ともかく、師匠・杉本七段と弟子・藤井四段で、得意な戦法が違うわけですね。

 

 

杉本先生は、「別に弟子が師匠と同じ戦法を指さなければいけないわけではない」ということをおっしゃっていました。

 

 

いかに将棋のプロ棋士といっても、自分が普段使わない戦法の定跡を教えるのは難しいでしょうから、師匠と同じ戦法を使わないということは、戦法についての知識は、自分で調べたり研究してみにつけなければならないことを意味します。

そう考えると、弟子に自分の将棋を教えないということはつまり、弟子が自分で強くなっていくことを信じているということですので、とても美しい師弟関係ですね。

(もっとも将棋の場合、師弟で戦法が異なるのはさほど珍しくはないようですが。弟子に全く将棋を教えない師匠もいるらしく、そのあたりのことはそれぞれの一門の個性であって、どのやり方がいい、悪いというのはないそうです。)

 

 

ともあれ、上記の言葉をおっしゃっているときの杉本先生の雰囲気からは、杉本一門の自由な雰囲気が感じられたような気がします^^

 

対局の前日には東京/大阪入りしておきなさい

 

続いてここからは、教えるべきことはきっちりと教える杉本師匠の一面についてです。

 

 

藤井四段のプロフィールをご存じの方にはお分かりでしょうけれど、愛知県在住です。

 

一方、プロの将棋の対局というのは、多くは日本将棋連盟の将棋会館で行われます。

将棋会館は2箇所あって、東京の千駄ヶ谷にある東京・将棋会館と、大阪の福島にある関西将棋会館があります。

 

大阪や東京在住のプロ棋士で研究熱心な方は、自分の対局が入っていないときでも毎日でも将棋会館に足を運び、他の棋士の将棋を控室で検討すると聞いたことがあります。

 

 

これに対して、愛知県民の藤井四段の場合は、毎回のプロの対局のために、わざわざ東京か大阪に移動しなければなりません。

 

いわば、プロとしての対局という毎回の仕事が、「出張」みたいなものなのですね^^

まだ中学生なのに、大変ですね^^

 

 

デビュー戦の時点で既に注目を集め、インターネットテレビで対局が生中継されることも多い藤井四段の場合、当日に愛知県の自宅から将棋会館に移動するのでは、不安があります。

交通機関の遅延も絶対ないとは言い切れませんし、中学生としての生活とプロ棋士としての生活を両立することの大変さから疲れが出て遅れてしまう可能性もあります。

また、無事に定刻までに対局室に入れても、疲れがでて将棋の内容に影響してもおかしくありません。

 

 

このあたりのことについては、杉本師匠は藤井四段に、的確な助言をしています。

 

 

杉本師匠は、「対局の前日までには移動しておくように」という指導をしているそうです。

 

もちろんこれは、常識的なアドバイスであり、杉本先生でなくとも大人なら誰でもできるアドバイスではありますが、こういうところを「分かるだろう」と決めつけて本人や家庭にまかせきりにしないところが、好印象ですね^^

 

将棋でも、平凡な手や自然な手がいい手であることが多いですし、当たり前のことをきっちりとすることはやはり大切なことだと思います。

こういうことはこのごろ、藤井四段を含むプロの将棋を観ていて強く実感します。

 

 

プロデビュー戦以降公式戦を無敗で勝ち進み、これから今まで以上の強敵と戦っていくことになる藤井四段。

中学生としての生活とプロとしての仕事を両立しながらやっていくのは大変なことですが、心強い師匠とともに、歩んでいって欲しいですね^^

 

小学生時代の藤井聡太少年が弟子入りの際に師匠から教わったこと

 

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さて、ずいぶんと長く書いてきましたが、ここからが一番書きたかったことです^^

 

 

プロ棋士を志す小学生時代の藤井少年はある日、お母さまとともに、杉本先生への弟子入りのあいさつに行きました。

 

藤井四段が小学四年生のときのことで、プロ棋士養成機関・奨励会に入るための弟子入りでした。

 

 

杉本先生は藤井四段と同じ愛知県出身の棋士で、藤井四段は東海研修会時代からお世話になっていたみたいです。

(研修会とは、一言でいうと、奨励会に入る前に入る機関です。)

 

 

入門のあいさつは、地元で有名な喫茶店でしたそうです。

 

その際、藤井少年はある飲み物の飲み方を、杉本先生から教わります。なんだと思いますか?

 

 

お子さんたちがよく喫茶店で頼む飲み物です。

 

正解は、クリームソーダの飲み方です^^

 

creamsoda.jpg

 

メロンソーダにアイスクリームが浮いている、あの飲み物ですね。

 

 

なんでも、藤井少年はクリームソーダのアイスを、沈めようとしていたのだそうです。

 

そうすると、飲み物がグラスからあふれてしまうので、杉本先生が正しい飲み方を教えたのだそうです。

 

 

杉本先生によるとこれは、「私が教えた数少ないこと」だそうです。

 

私としては、こうしたユーモアある言葉の一つ一つから、杉本先生の謙虚なお人柄と、藤井四段への愛情が伝わってくるようで、彼らの師弟関係に魅力を感じます。

 

 

 

この杉本先生が語ったエピソードだけでも十分面白いのですが、これに対して我らが永田実アナウンサーが言った言葉がまた面白かったので、紹介しておきます。

 

永田実さんの言葉は、「将棋よりも先に、クリームソーダの飲み方定跡を教えたわけですね。」というものでした。

 

 

この言葉の面白さを説明するのは、中々難しいのですが(笑)、私にとっては非常に面白かったです。

 

将棋以外のことにも将棋用語を使うというのは、プロの棋士の先生たちもやったりするイメージがあります。

だからきっと、彼らの日常生活の中には、色々な「手筋」や「定跡」が存在するのです^^

 

 

あくまでイメージで、残念なことに具体例が全く出てこないのですが(笑)。

 

 

クリームソーダのように、下手な飲み方をするとあふれたりしてしまう飲み物(食べ物?)の場合、合理的な飲み方というのはある程度限定されてきます。

 

ほぼ1種類、多くても数種類くらいしか飲み方はないはずです。

なので、「正しい」飲み方というのがあって、「定跡」化されているわけですね。

 

このあたりの理屈は、将棋と全く同じですね(笑)。

永田実さんの名言(?)「クリームソーダの飲み方定跡」には、そういう背景があると考えて間違いないと思います。

 

 

この「飲み方定跡」という言い回しが何故面白いかというと、「定跡を教えた」という堅苦しい言葉を使っている割には、実際にやったことは単に、飲み物の飲み方を教えただけだという点ですね。

 

 

 

面白さは分かっていただかなくても別にいいのですが(笑)、こういう言葉がでてくるあたり、永田実さんは本当に将棋が好きで、日常的に将棋に染まっていることが分かり、好感が持てたという点は強調しておきたいです!

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

すでに将棋界の新たなスターとして活躍し始めている藤井四段ですが、師匠の杉本先生の言葉に焦点を当ててみると、等身大の少年としての一面が見えてきますね。

 

杉本先生に限らず、将棋の棋士はユーモアがあって温かい方がばかりなのですが、そういう師や先輩の中で育った藤井四段が大盤解説などに出たときに、どのようなトークでファンを楽しませてくれるか、楽しみですね。

 

 

なにはともあれ、まずは、6月21日の28連勝がかかった対局の行方が楽しみですね!

 

それから今日、6月20日は、加藤一二三九段の対局がAbemaTVで生中継されます。

舞台は竜王戦の昇級者決定トーナメントで、もしも負ければ現役最後の対局、つまり引退試合となってしまいます。

勝ちつづければ最大で、7局(今日の対局を含む)対局できるみたいです。

 

 

どういう結果になるにしても、偉大な棋士の引退という歴史的瞬間が近づいてきているわけで、なんだかどきどきします。

 

それでは、今回はこれで失礼します。

 

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